近年、SUVやクロスオーバー車の人気が高まると同時に、足元を飾るタイヤへの注目度も急上昇していますね。特にトーヨータイヤの「オープンカントリー」シリーズは、そのワイルドな見た目と実用性で多くのファンを魅了しています。ただ、購入を検討する際にどうしても気になるのが、「このタイヤで雪道を走れるのか?」という点ではないでしょうか。
「見た目はゴツゴツしているから雪にも強そうだけど、滑る可能性はないの?」「高速道路のチェーン規制が出ても大丈夫?」といった疑問を持つ方は非常に多いです。また、人気のR/TとA/T IIIでは性能にどのような違いがあるのかも気になりますよね。特に凍結路やアイスバーンといった危険な路面状況において、スタッドレスタイヤの代わりとして機能するのかどうかは、命に関わる重要な問題です。
この記事では、オープンカントリーシリーズの雪道性能について、私なりの視点で徹底的に深掘りしていきます。
- オープンカントリーR/TとA/T IIIの雪道性能の決定的な違い
- 「M+S」や「スノーフレークマーク」といった認証マークの正しい意味
- 雪は得意でも氷は苦手な理由と物理的なメカニズム
- 予期せぬ積雪や凍結路面を安全に走り切るための対策
オープンカントリーの雪道性能を徹底解析

それでは早速、オープンカントリーが冬の道路でどの程度通用するのか、その性能を紐解いていきましょう。一言で「雪道」と言っても、ふかふかの新雪からカチカチに凍ったアイスバーンまで状況は様々です。ここでは、カタログスペックだけでは分からないリアルな性能差や、物理的な限界について詳しく見ていきたいと思います。
オープンカントリーR/Tは滑るのか

まず、見た目のインパクトが強烈で大人気の「オープンカントリー R/T(ラギッドテレーン)」についてです。このタイヤ、ブロックが大きくて溝も深く、サイドウォールのデザインも攻撃的で本当にかっこいいですよね。「雪道でもガシガシ進めそう」というイメージを持つ方も多いはずです。結論から言うと、「新雪や圧雪路(雪が踏み固められた道)なら、驚くほど走れる」というのが正直な評価です。
私自身、いろいろな情報を調べてみましたが、ジムニーやデリカD:5などにR/Tを履かせて雪道を走った動画やレビューでも、「思ったよりも全然滑らない」「普通に走れてびっくりした」といったポジティブな声が多く聞かれます。なぜ、専用のスタッドレスタイヤではないのに、これほどまでに雪道でグリップするのでしょうか。その秘密は、タイヤのトレッド面に刻まれた深い溝と大きなブロックにあります。
タイヤが雪の上を転がる際、この太い溝に雪が入り込み、車両の重量によってギュッと圧縮されます。すると、溝の中で固められた雪が「雪の柱(雪柱)」のようになります。タイヤが回転して地面を蹴り出す瞬間、この雪柱を断ち切る(剪断する)際に強い抵抗力が生まれるのですが、これを専門用語で「雪柱剪断力(せっちゅうせんだんりょく)」と呼びます。オープンカントリーR/Tのようなゴツゴツしたタイヤは、この雪柱剪断力が非常に高く発生する設計になっているため、雪が積もった直後のふかふかの路面や、ある程度締まった雪道では、スタッドレスタイヤに迫るような頼もしいトラクションを発揮してくれるのです。
ただし、ここで絶対に安心してはいけません。「滑るのか?」という問いに対して、路面が「凍結(アイスバーン)」していた場合は、答えが明確に「YES(滑る)」に変わります。
R/Tはあくまでオフロード(泥や岩場)での走行性能や耐久性を重視したタイヤであり、ゴム質(コンパウンド)が比較的硬めに設定されています。また、氷の表面にある水膜を除去し、路面をひっかくための「サイプ(ブロックに刻まれた細い切り込み)」が、スタッドレスタイヤに比べて圧倒的に少ないのです。そのため、交差点の手前で磨かれたツルツルのミラーバーンや、一見濡れているだけに見えるブラックアイスバーンに乗った瞬間、雪柱剪断力は全く役に立たなくなり、摩擦係数が劇的に低下します。
その結果、まるでスケートリンクの上にいるかのように制御不能になり、ブレーキを踏んでも止まらず、ハンドルを切っても曲がらないという恐怖を味わうことになります。「走れる」という言葉はあくまで「雪の上」に限った話であり、凍結路に関しては夏タイヤよりはマシ程度と考えておくのが安全です。
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A/T IIIは高速道路の規制に対応

次に、オールテレーンタイヤである「オープンカントリー A/T III」を見てみましょう。こちらはR/Tに比べて、よりオンロードでの快適性やウェット性能、そして全天候型の性能を強化したモデルと言えます。最大の特徴であり、R/Tとの決定的な違いとなるのが、サイドウォールに刻印された「スリーピークマウンテンスノーフレークマーク(3PMSF)」です。
このマーク、ただのデザインではありません。ASTM(米国試験材料協会)の公式試験法に基づき、極めて厳しい寒冷地条件下の圧雪路において、標準的な試験用タイヤと比較して一定以上の加速トラクション性能を発揮することが実証されたタイヤにのみ付与される、いわば「冬道性能の勲章」です。これがあるおかげで、高速道路などで実施される「冬用タイヤ規制(すべり止め装置装着規制)」の状況下でも、基本的にはそのまま走行することが認められています。
A/T IIIなら、ドライブ中に急な降雪があり高速道路で規制がかかっても、高速道路を強制的に降ろされることなく、目的地へ向かえる可能性が高いです。
都市部に住んでいて「雪は年に数回降るか降らないか」という方にとっては、わざわざ保管場所に困るスタッドレスタイヤを購入し、シーズンごとに履き替える手間やコストを削減できるので、非常に魅力的な選択肢になります。「基本は街乗りだけど、冬のキャンプやスキーにも行きたい。でもガチガチの雪国に行くわけではない」というライトユーザーには最適解と言えるでしょう。
チェーン規制には要注意
ただし、ここで一つ重要な注意点があります。それは、大雪特別警報が出るような緊急時に発令される「チェーン規制(全車両チェーン装着規制)」の場合です。この規制が出た区間では、たとえスタッドレスタイヤや3PMSF付きのA/T IIIを履いていたとしても、タイヤチェーンを装着していなければ走行することはできません。
この点については、国土交通省の公式サイトでも明確に案内されています。「規制区間手前のチェーン着脱場等でタイヤチェーン装着の確認を行います」とある通り、どんなに高性能なタイヤでもチェーンがなければ通行止めを食らってしまうのです。A/T IIIは万能なタイヤですが、法的な規制の全てのレベルに対応できるわけではないことを理解し、トランクには必ずチェーンを積んでおくことが重要です。(出典:国土交通省『チェーン規制Q&A』)
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凍結路やアイスバーンでの危険性

先ほどR/Tの項目でも少し触れましたが、ここで改めて「凍結路(アイスバーン)」の恐ろしさについて、物理的な視点から徹底的に強調させてください。ここが今回の記事で一番伝えたい、命に関わるポイントかもしれません。
雪道走行において、タイヤが路面を捉えてグリップするメカニズムは、大きく分けて2つの物理現象によって成り立っています。
- 雪柱剪断力(Snow Shear Force):タイヤの溝に雪を押し固め、その雪の柱を蹴り出す力。主に新雪や圧雪路で有効。
- 凝着摩擦(Adhesion)&エッジ効果:ゴムが路面の微細な凹凸に密着する力と、サイプのエッジが水膜を切って氷をひっかく力。主に凍結路(氷)で有効。
オープンカントリーシリーズ、特にR/Tのようなオフロードタイヤは、1の「雪柱剪断力」に関しては非常に優秀です。深い溝と大きなブロックが、雪をガッチリと掴んで離さないからです。しかし、2の「凝着摩擦」と「エッジ効果」に関しては、スタッドレスタイヤに比べて圧倒的に不足しています。
氷の上(アイスバーン)では、雪がないため雪柱を作ることができません。つまり、最大の武器である雪柱剪断力が封じられてしまうのです。この状況下で頼りになるのは、ゴムの柔らかさとサイプの数だけです。スタッドレスタイヤは、指で押すとグニャッとするほど柔らかい特殊なゴムを使い、さらに表面には無数の細かい切り込みが入っています。これにより、氷の表面に浮いた水膜を除去し、氷にゴムを密着させてグリップを生み出します。
一方、オープンカントリーは、岩場でのカットや摩耗に耐えるためにゴムが比較的硬く、ブロック剛性を確保するためにサイプの密度も低く設計されています。その結果、氷の上ではゴムが路面に密着せず、サイプのエッジも引っかからないため、摩擦係数が極端に低下します。「ブレーキを踏んでもABSが作動するだけで全く減速しない」「ハンドルを切っているのに車が真っ直ぐ進んでいく」という絶望的な状況は、この物理的なメカニズムの違いから生まれるのです。
特に危険なのが、日中の日差しで溶けた雪が、夕方の冷え込みで再凍結した路面です。一見するとただの濡れたアスファルトに見える「ブラックアイスバーン」になっていることが多く、ここでオープンカントリーの弱点が露呈し、事故につながるケースが後を絶ちません。
スタッドレスタイヤと比較した限界

では、具体的にスタッドレスタイヤとどれくらいの性能差があるのでしょうか。「ちょっとくらいなら大丈夫でしょ?」と思っている方もいるかもしれませんが、その認識を改めるために、各路面状況ごとの適合度を比較表にまとめてみました。あくまで一般的な傾向としてのイメージですが、タイヤ選びの判断材料として活用してください。
| 路面状況 | A/T III (3PMSF) | R/T (M+S) | スタッドレス |
|---|---|---|---|
| ドライ舗装路 | ◎(快適・静粛性は高い) | ◯(ロードノイズはややある) | △(摩耗が早く、腰砕け感がある) |
| ウェット(雨天) | ◎(排水性が高く安心) | ◯(基本問題ないが注意) | ◯(ゴムが柔らかく滑ることも) |
| 新雪・深雪 | ◯(十分に走破可能) | ◎(深いブロックが強力に効く) | ◯(目詰まりすると弱いことも) |
| 圧雪路(固まった雪) | ◎(3PMSFの実力を発揮) | ◯(雪柱剪断力でグリップ) | ◎(安定感抜群) |
| アイスバーン(凍結) | △(極度の注意が必要) | ×〜△(非常に滑りやすく危険) | ◎(絶対的な制動性能) |
この表を見ても分かる通り、A/T IIIやR/Tは「雪道(新雪・圧雪)」まではスタッドレスタイヤと互角、あるいは状況によってはそれ以上の走破性を見せることがあります。しかし、「氷(アイスバーン)」になった途端に、その評価は逆転し、スタッドレスタイヤに大きく水をあけられます。
スタッドレスタイヤには、発泡ゴムや吸水ゴムといった、氷の上の水膜を除去するための最先端技術が詰め込まれています。これに対し、オープンカントリーはあくまで「オールテレーン(全地形)」または「ラギッドテレーン」であり、氷上性能に特化したタイヤではありません。制動距離(ブレーキを踏んでから止まるまでの距離)で言えば、アイスバーン上ではスタッドレスタイヤの倍以上の距離が必要になることも珍しくありません。
オープンカントリーを履いて冬を迎えるなら、「このタイヤはスタッドレスタイヤの代わりにはならない」という事実を強く認識し、限界性能が低いことを常に意識して、車間距離を通常の3倍以上空けるなどの防衛運転が必須となります。
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M+Sとスノーフレークマークの意味

タイヤのサイドウォールには様々な記号やマークが刻印されていますが、冬道性能を正しく理解する上で絶対に知っておくべきなのが「M+S」と「スノーフレークマーク(3PMSF)」の違いです。これらを混同して「M+Sが付いているから冬も完璧!」と誤解している方が非常に多いので、ここで整理しておきましょう。
M+S(マッド&スノー)
オープンカントリーのR/TにもA/T IIIにも付いている「M+S」という表記。これはMud(泥)とSnow(雪)を意味しており、主に「タイヤの溝の形状(幾何学的特徴)」に基づいて決定されます。具体的には、溝の面積比率(ボイドレシオ)が一定以上あり、トレッドパターンが泥や雪を排出できる構造になっていることをメーカーが自社基準で表示しているものです。
重要なのは、M+Sマークは必ずしも「実際の雪道や凍結路での厳しい性能テストに合格した証明ではない」という点です。極端な言い方をすれば、「雪道でも走れるような溝のデザインにしましたよ」という宣言に近いものです。もちろん一定の雪道性能はありますが、低温下でのゴムの硬化や、氷上でのブレーキ性能までは保証していません。「M+Sがあるから冬用タイヤとして完璧」と過信するのは非常に危険です。
スリーピークマウンテンスノーフレーク(3PMSF)
一方、A/T IIIに刻印されている、山の中に雪の結晶が描かれたマーク(3PMSF)は格が違います。これは、国連欧州経済委員会などの公的な規格に基づき、ASTM(米国試験材料協会)の公式試験法(ASTM F1805)を実施した結果、「過酷な積雪路面において、標準的なリファレンスタイヤと比較して一定以上の加速トラクション性能がある」ことが客観的なデータとして実証されたタイヤにのみ付与されます。
つまり、M+Sが「形状の宣言」であるのに対し、3PMSFは「実力の証明」なのです。このマークがあるタイヤは、欧州などの冬用タイヤ規制が厳しい地域でも走行が認められるレベルの性能を持っています。
これからオープンカントリーを購入し、少しでも冬道での安心感を優先したいのであれば、迷わず3PMSFが付いている「A/T III」を選ぶのが賢明です。R/Tの見た目も捨てがたいですが、認証マークの違いは、そのまま設計思想と安全性能の違いであることを理解しておきましょう。
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オープンカントリーで雪道を走るリアル

性能やマークの意味を理解したところで、ここからは実際にオープンカントリーを履いて雪道を走る際の「リアルな感覚」や「注意すべきシチュエーション」についてお話しします。私自身の考えや、多くのユーザーが直面する現実的なリスクを共有しておきたいと思います。
ジムニーなどの四駆車と相性

オープンカントリーを選ぶ方の多くは、スズキのジムニーやシエラ、トヨタのRAV4、ランドクルーザープラド、三菱のデリカD:5といった、本格的なSUVや4WD車に乗っているかと思います。実は、車の駆動方式とこのタイヤの相性は非常に重要であり、それが時にドライバーを「勘違い」させてしまう原因にもなります。
スバル車のような高度なAWDシステムや、ジムニーのようなパートタイム4WDを持つ車であれば、オープンカントリーの雪道性能(特にトラクション性能)を最大限に引き出すことができます。アクセルを踏めば、4輪すべてのタイヤがしっかりと雪を噛み、多少の深雪でもグイグイと前に進んでいく感覚を味わえるでしょう。「おっ、このタイヤ結構食うじゃん!全然滑らないな」と感動する瞬間です。発進でスリップして立ち往生することは、よほどの急勾配やツルツルの氷でない限り少ないはずです。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。「進む力(トラクション)」と「止まる力(ブレーキ)」は全く別物だということです。
4WDの恩恵でスムーズに発進できてしまうため、ドライバーは「路面が滑りやすいこと」に気づきにくくなります。2WD車なら発進時にタイヤが空転して「あ、滑るな。慎重に行こう」と警告を受け取れるのですが、優秀な4WD車とオープンカントリーの組み合わせでは、その警告がないままスピードが出てしまうのです。その結果、交差点やカーブの手前でいざブレーキを踏んだ時、あるいはハンドルを切った時に、車重の重いSUVが慣性で止まらず、「止まらない!」とパニックになるケースが後を絶ちません。
ブレーキ性能に関しては、2WDも4WDもタイヤのグリップ力(摩擦円)に依存するため、条件は全く同じです。「走れる」からといって「止まれる」わけではない。4WDの高い走破性に甘えず、常に「止まれないかもしれない」という警戒心を持って運転する心がけが大切ですね。
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圧雪路でのトラクション性能評価

適度に雪が降り積もり、行き交う車に踏み固められた「圧雪路」。このシチュエーションは、オープンカントリーが最も輝く冬のステージと言っても過言ではありません。特にR/Tのようなゴツゴツしたブロックパターンを持つモデルは、その本領を発揮します。
圧雪路では、タイヤのブロックのエッジが雪面にしっかりと食い込み、前述した「雪柱剪断力」を効果的に生み出します。ハンドルからの手応えもしっかりと伝わってきて、極端な急ハンドルや急ブレーキを避ければ、不安なくドライブを楽しめるレベルにあると言えます。「オールシーズンタイヤとして十分使えるじゃん」と高く評価するユーザーが多いのも、この圧雪路でのパフォーマンスが期待以上に良いからでしょう。スキー場の駐車場付近や、除雪が行き届いていない脇道などでは、むしろスタッドレスタイヤよりも頼もしく感じる場面さえあるかもしれません。
ただし、注意点もあります。轍(わだち)が深く掘れている場所では、タイヤのサイドウォールが引っかかってハンドルを取られやすくなります。また、一見すると圧雪路に見えても、その下地が凍結している「隠れアイスバーン」になっている場合、ブロックの硬さが災いして急激にグリップを失うことがあります。過信は禁物ですが、非降雪地域での突然のドカ雪や、レジャーでの雪道アプローチくらいなら、落ち着いて丁寧な運転をすれば十分に切り抜けられるポテンシャルは持っています。
気温が下がる帰りの道に注意

私が個人的に最も警鐘を鳴らしたいのが、「行きの道」と「帰りの道」の違いです。これ、意外とベテランドライバーでも見落としがちな盲点なんですよね。
例えば、週末に家族や友人とスキーやスノーボード、冬のキャンプへ向かうとします。「行き(午前〜昼間)」は、日中の日差しで気温も比較的高く、路面の雪が溶けてシャーベット状になっていたり、水分を含んで緩んでいたりすることが多いです。こういう「重たい雪」や「緩んだ雪」は、オープンカントリーの深い溝とブロックがグサグサと刺さりやすく、排雪性も高いため、かなり調子よく走れてしまいます。「なんだ、ネットで言われてるほど滑らないし、余裕じゃん!」と思ってしまうんですね。ここで自信を持ってしまうのが危険の始まりです。
しかし、本当の勝負は「帰り(夕方〜夜)」です。日が沈むと気温は急激に氷点下まで下がり、昼間に溶けた雪水が路面上で再凍結します。すると、行きは走りやすかった道が、カチカチのミラーバーンや、アスファルトが見えているのに凍っているブラックアイスバーンへと変貌します。こうなると、オープンカントリーが最も苦手とする「氷」の世界です。
「行きは余裕だったのに、帰りの下り坂で全く止まらず冷や汗をかいた」「カーブで車が横滑りしてガードレールにぶつかりそうになった」という失敗談は、A/TやR/Tユーザーから本当によく聞きます。
時間帯による路面状況の変化、特に「濡れた路面が凍る」リスクを常に頭に入れ、帰りは行きよりもさらに速度を落として慎重な運転を心がけるか、路面が凍結する前の明るいうちに早めに帰路につく判断が必要です。この「時間の読み」こそが、オープンカントリーで無事に家に帰るための最大の秘訣と言えるでしょう。
緊急時のタイヤチェーン携行は必須

ここまで、オープンカントリーの限界やリスクについて厳しめにお伝えしてきましたが、「やっぱりオープンカントリーで冬を越すのは不安かも…でも、あのカッコいい見た目は諦めたくない!」と葛藤している方も多いはずです。そこで私が強くおすすめする、最も現実的で安全な解決策が、「タイヤチェーンの携行」です。
スタッドレスタイヤを持っていない、あるいはマンション住まいで保管場所がないというユーザーにとって、普段履きの「オープンカントリー」+緊急用の「タイヤチェーン」という組み合わせは、コストパフォーマンスと安全性を両立させる最強のソリューションになり得ます。普段の街乗りや、多少の雪道(新雪・圧雪)はオープンカントリーの性能でこなし、峠越えや明らかな凍結路、スキー場手前の急な坂道など、「これはヤバい、滑りそうだ」と直感した場面でのみチェーンを装着するのです。
最近は、金属チェーンだけでなく、布製チェーン(オートソックなど)のように軽量でコンパクト、かつ取り付けが非常に簡単な製品も増えています。これならトランクの下に入れておいても邪魔になりません。国土交通省も、大雪時のチェーン規制区間では、スタッドレスタイヤであってもチェーン装着を求めていますから、チェーンを持つことは決して恥ずかしいことではなく、ドライバーとしての嗜みです。
「いざとなればチェーンがあるから大丈夫」という精神的な余裕は、冬のドライブにおいて何物にも代えがたいものです。オープンカントリーを楽しむなら、お守り代わりに必ずチェーンを車載しておきましょう。(出典:国土交通省『チェーン規制Q&A』)
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オープンカントリーの雪道走行まとめ

最後に、オープンカントリーの雪道性能について、これまでの情報を整理し、あなたがどのモデルを選ぶべきかの指針をまとめておきましょう。
■ A/T III (3PMSF付き) がおすすめな人
・普段は街乗りがメインだが、突然の雪にも慌てたくない
・高速道路を利用する機会が多く、冬用タイヤ規制をクリアしたい
・静粛性や雨の日のウェット性能など、日常の快適性も重視したい
・「安心」を買いたいと考えている
■ R/T がおすすめな人
・とにかく見た目のワイルドさ、ゴツゴツしたカッコよさを最優先したい
・キャンプや林道など、泥道や深雪のオフロード走行を楽しみたい
・冬の凍結路面(アイスバーン)では絶対に乗らない、またはチェーンを必ず使う覚悟がある
・自分の運転技術とタイヤの限界を冷静に判断できる
結論として、「オープンカントリーで雪道は走れるか?」という問いに対する私の最終的な答えは、「雪道(Snow)は走れるが、氷道(Ice)は非常に危険。過信せずにチェーンを準備すべき」というものです。
トーヨータイヤのオープンカントリーは、間違いなく素晴らしいタイヤです。そのデザインと性能は、あなたのカーライフをより豊かで楽しいものにしてくれるでしょう。しかし、どんなに優れた道具も、使い方と限界を知らなければ凶器になります。自分の住んでいる地域の環境、車を使う用途、そして冬の道路の怖さを正しく理解した上で、最適なモデルを選んでくださいね。デザインと性能のバランスを上手に見極めて、安全で楽しい冬のドライブを送りましょう!




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