キャンプブームやアウトドア需要の高まりと共に、街中で見かける機会が激増している「アゲバン」スタイルのエブリィ。「自分もあんな風にカッコよくしたい!」と思っても、数万円から十数万円かかるリフトアップキットの導入は、コスト面でもハードルが高いですよね。また、足回りを改造することでメーカー保証が受けられなくなったり、直進安定性が悪くなったりするリスクを懸念される方も多いはずです。
「できれば車高はそのままで、タイヤだけを変えて手軽にアウトドアスタイルを楽しみたい」
そんなあなたの願いを叶えるのが、TOYO TIRES(トーヨータイヤ)の大ヒット商品「OPEN COUNTRY(オープンカントリー)R/T」です。しかし、いざ購入しようとすると「ノーマル車高でも入るの?」「車検は大丈夫?」といった不安が尽きません。この記事では、エブリィ(DA17V/W)のノーマル車高におけるオープンカントリー装着について、プロの視点から徹底的に検証した結果を共有します。
- エブリィのノーマル車高に干渉せず装着できる最適なサイズと規格
- 165/60R15などのインチアップサイズがノーマル車高で危険な理由
- 4ナンバー(バン)と5ナンバー(ワゴン)で異なる車検とハミ出しの基準
- 実際に装着した際の燃費の変化や、ロードノイズなどのリアルな使用感
エブリィのノーマル車高にオープンカントリーは履ける?

結論から申し上げますと、サイズ選びさえ間違えなければ、エブリィのノーマル車高にオープンカントリーR/Tを装着することは100%可能です。実際に多くのユーザーがこのスタイルを楽しんでおり、特別な加工なしでポン付けできる手軽さが受けています。
しかし、ネット上の口コミやSNSでは「入る」「入らない」「擦った」といった情報が入り乱れており、どれを信じていいか分からなくなってしまいますよね。ここでは、曖昧な感覚論ではなく、車両の構造とタイヤの物理的な数値を照らし合わせた「根拠のあるマッチング情報」をお届けします。
145/80R12が最適サイズな理由

エブリィのノーマル車高において、私が自信を持って推奨する唯一の「正解」サイズ。それは、純正タイヤと全く同じ規格である145/80R12 80/78N LTです。
「せっかくタイヤを変えるのに、純正と同じサイズじゃ迫力が出ないんじゃない?」と思われるかもしれません。しかし、オープンカントリーR/Tというタイヤに関しては、その常識は当てはまりません。このタイヤの最大の特徴は、オフロードタイヤ特有の「スクエアショルダー」と呼ばれる角張ったデザインにあります。
純正の商用タイヤ(例えばヨコハマ JOB RY52など)は、燃費や静粛性を考慮してタイヤの角(ショルダー部)が丸く滑らかに作られています。一方でオープンカントリーR/Tは、泥濘地でのトラクションを稼ぐために、ショルダー部分に大きくゴツゴツしたブロックが配置されており、角が直角に近く切り立っています。
このデザインの違いにより、カタログ上の寸法(外径や幅)は純正と同じでも、実車に装着した時の「見た目の太さ」や「大きさ」は、まるでワンサイズ上のタイヤを履いているかのような錯覚を起こさせるほど違います。
また、145/80R12を選ぶ最大のメリットは、車両側のクリアランスを一切心配しなくて良いという点です。エブリィのタイヤハウスは、商用車としての積載効率を最大化するためにギリギリの設計がなされています。無理に外径の大きいタイヤを入れると、サスペンションが沈み込んだ際やハンドルを切った際にどこかが干渉するリスクが常に付きまといますが、純正同等サイズであればその心配は皆無です。「見た目の迫力」と「純正の安心感」を両立できる、まさにゴールデンサイズと言えるでしょう。
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ハンドル全切りでの干渉リスクを検証

タイヤのサイズアップや銘柄変更をする際に、最も懸念されるのが「ハンドルを全開に切った(フルロックした)時の干渉」です。エブリィのようなキャブオーバー型(エンジンの上に運転席があるタイプ)の軽バンは、構造的に前輪の配置が非常にシビアです。
具体的には、フロントタイヤの前側はバンパー裏のライナー(泥除け)に、後ろ側はボディのインナーフェンダーに近接しています。また、サスペンション形式はマクファーソン・ストラット式を採用しており、タイヤの内側すぐ横にはスプリングを受ける「お皿(ロアシート)」が位置しています。
| 箇所 | リスクの内容 | 145/80R12での判定 |
|---|---|---|
| バンパー裏 | ハンドルを切るとタイヤ角が接触しやすい | 余裕あり(干渉なし) |
| インナーフェンダー | ブレーキ時の沈み込みで擦る可能性 | 余裕あり(干渉なし) |
| ストラット皿 | タイヤ幅を広げると内側が当たる | 純正同等幅のため回避 |
145/80R12サイズであれば、上記の表の通り、あらゆるシチュエーションにおいて干渉リスクは限りなくゼロに近いです。例えば、ハンドルを右いっぱいに切った状態で、コンビニの入り口のような段差に勢いよく進入し、サスペンションがフルバンプ(最も縮んだ状態)したとしても、タイヤがボディやバンパーに当たることはありません。
これがもし、外径を大きくしたタイヤや幅の広いタイヤだった場合、平坦な道では当たらなくても、こうした「複合的な入力(ハンドルを切る+サスペンションが縮む)」が加わった瞬間に「ガガガッ!」という嫌な音がして、ライナーを削ってしまうことになります。日常使いで一切のストレスを感じたくないなら、やはり145/80R12一択となります。
165/60R15へのインチアップは危険

SNSやカスタム事例を見ていると、スズキ・ハスラーの純正サイズである「165/60R15」を流用して履かせているエブリィを見かけることがあります。「ホイールが大きくてカッコいい!自分も真似したい!」と思う気持ちは痛いほど分かりますが、ノーマル車高のエブリィにとって、このサイズは禁断の領域です。
まず、タイヤの外径(直径)を比較してみましょう。
・純正(145/80R12):約536mm
・ハスラーサイズ(165/60R15):約579mm
その差はなんと約43mm。半径にしても約2cm以上タイヤが大きくなります。「たった2cm?」と思われるかもしれませんが、自動車のフェンダー内部における2cmというのは、致命的な差です。
ノーマル車高のDA17エブリィに165/60R15を装着すると、フロントバンパーの下部(裏側の黒いカバー部分)にタイヤがガッツリと干渉します。直進状態ならギリギリ収まるかもしれませんが、ハンドルを少しでも切るとアウトです。無理やり走行すれば、バンパーの固定クリップが弾け飛んだり、タイヤのブロックが削れてしまったりするでしょう。
「ネットで『入った』と書いている人がいた」という情報には注意が必要です。その車両は、見えないところで「バンパーカット(切り取り加工)」をしていたり、特殊な「リフトアップスプリング」を入れている可能性が高いです。完全なノーマル車高で、無加工でこのサイズを履きこなすのは物理的に不可能です。安易なインチアップは事故や破損の元ですので、絶対に避けましょう。
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車検対応のLT規格とハミ出し対策

エブリィバン(DA17V)などの4ナンバー貨物車において、タイヤ選びは「車検に通るかどうか」が最重要課題です。どれだけカッコよくても、車検のたびに純正タイヤに戻すのは手間ですし、万が一の事故の際に保険が下りないリスクも考えられます。
まず大前提として、貨物車のタイヤには「LT(ライトトラック)」規格、またはそれに準ずる負荷能力(ロードインデックス)が必須です。オープンカントリーR/Tの145/80R12は「80/78N LT」という規格を取得しており、これは純正タイヤと全く同等の強度を持っています。したがって、タイヤの強度不足で車検に落ちることはありません。
次に注意したいのが、2017年の保安基準改正で話題になった「タイヤのハミ出し10mmまでOK」というルールです。ここには大きな落とし穴があります。実はこの緩和措置、「専ら乗用の用に供する自動車(3ナンバー、5ナンバー等)」が対象であり、貨物車(1ナンバー、4ナンバー)は対象外となるケースがほとんどなのです。
【車種別ハミ出し判定の目安】
- エブリィワゴン(DA17W・5ナンバー)
タイヤのゴム部分(ラベリングやリムガード)であれば、片側10mm未満のはみ出しは車検OKとなる可能性が高い。 - エブリィバン(DA17V・4ナンバー)
「回転部分の突出禁止規定」が厳格に適用されるため、1mmでもはみ出していれば車検NGとなる可能性が高い(検査員の判断によるが、NG前提で考えるべき)。
多くのブログや動画で「今は10mm出ても大丈夫!」と解説されていますが、それは乗用車の話です。4ナンバーのエブリィバンにお乗りの方は、フェンダーの内側にきっちり収める必要があります。145/80R12を純正ホイールや、一般的なインセット(+45など)の社外ホイールで履く限りはフェンダー内に収まりますが、インセットを攻めた(外に出した)ホイールを選ぶ際は、この「4ナンバーの罠」に十分注意してください。
(出典:TOYO TIRES OPEN COUNTRY R/T 公式サイト)
純正ホイール流用とインセットの注意点

「タイヤ代だけでも数万円かかるのに、ホイールまで買う予算はない…」そんな方に朗報です。実は今、エブリィのカスタムシーンでは「純正スチールホイール(鉄チン)のまま、タイヤだけオープンカントリーに変える」というスタイルが、逆に「通(ツウ)」でカッコいいとされています。
純正のスチールホイールは、メーカーが膨大なテストを経て設定した「最適解」のサイズ(12インチ リム幅4.00B インセット+45)です。このホイールを使用する限り、サスペンションの設計通りのジオメトリ(タイヤの動き)が保たれるため、ハンドリングの悪化やベアリングへの過度な負担といったトラブルを避けることができます。
もし、純正のシルバー色のホイールでは味気ないと感じる場合は、DIYで塗装してみるのがおすすめです。ホームセンターで売っている「つや消しブラック」や、表面がザラザラした仕上がりになる「チッピング塗料」のスプレー缶を使って黒く塗るだけで、足元の印象が劇的に引き締まります。黒いホイールと、オープンカントリーR/Tの黒くてゴツゴツしたサイドウォールが一体化し、足元に強烈な「塊感」が生まれます。
【社外アルミホイールを選ぶ際の注意点】
もしアルミホイールに交換する場合は、インセット(オフセット)選びが命です。
・インセット+45(純正同等):最も無難で安全。
・インセット+42〜+43:純正より2〜3mm外に出る。カッコいいが、個体差によってはバン(4ナンバー)だとハミ出し判定ギリギリになるリスクがある。
・インセット+40以下:ほぼ確実にハミ出すため、ノーマルフェンダーではNG。
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エブリィのノーマル車高とオープンカントリーの性能

見た目のカッコよさは間違いありませんが、車はあくまで「走る道具」です。タイヤを変えたことによって、普段の通勤や買い物の快適性が損なわれてしまっては意味がありません。ここでは、実際にノーマル車高のエブリィにオープンカントリーR/Tを装着して走行し続けているユーザーの生の声や、技術的な特性に基づいた「走行性能の変化」について、メリットだけでなくデメリットも含めて正直に解説します。
視覚的なリフトアップ効果と見た目

「車高は1ミリも上げていないのに、隣に並んだノーマルのエブリィより背が高く見える」
これは、オープンカントリーR/Tを装着したユーザーが口を揃えて言う感想です。この現象には、視覚的なトリックがあります。純正タイヤは、サイドウォール(側面)のデザインがシンプルで丸みを帯びているため、タイヤハウスの空間(タイヤとフェンダーの隙間)が広く見えがちです。隙間が広いと、車は「腰高」で貧弱な印象を与えてしまいます。
一方、オープンカントリーR/Tは、サイドウォールの上部までブロックパターンが回り込んでおり、角が立っています(スクエアショルダー)。これにより、タイヤハウスの隙間が視覚的に埋まったように見え、車体全体が地面に踏ん張っているような「どっしり感」が生まれます。
また、ホワイトレター(白い文字)の設定はありませんが、サイドウォールの「OPEN COUNTRY」というロゴデザイン自体が立体的で目立つため、信号待ちなどで横に並んだ車からの視線を感じることが増えるでしょう。「仕事グルマ」としてのエブリィが、一瞬にして「遊びのギア」へと進化する。その満足感こそが、このタイヤを選ぶ最大の理由です。
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実燃費は悪化する?ユーザーの実態

タイヤ交換を検討する際、最も気になるのが「燃費」ではないでしょうか。特に仕事で毎日長距離を走る方にとっては死活問題です。正直にお伝えしなければなりません。オープンカントリーR/Tに履き替えると、燃費は確実に悪化します。
具体的な数値としては、純正タイヤ(JOB RY52やK370など)と比較して、リッターあたり約1.0km〜1.5km程度ダウンすると考えてください。満タン法での計算で言うと、これまで14.5km/L走っていた車が、13.0km/L〜13.5km/Lくらいになるイメージです。
| 要因 | 解説 |
|---|---|
| 重量増(バネ下重量) | オフロード走行でのカット傷を防ぐため、サイドウォールやトレッド面のゴムが厚く作られています。タイヤ単体で数百グラム〜1kg近く重くなるため、発進時に多くのエネルギーを使います。 |
| 転がり抵抗の増大 | ブロックタイヤは接地するたびにゴムのブロックが変形します。この変形がエネルギーロス(熱)となり、スムーズな転がりを妨げます。 |
| 空気抵抗の増加 | ゴツゴツした表面形状が回転することで周囲の空気をかき乱し、整流された純正タイヤよりも空気抵抗が増えます。 |
「燃費が落ちるのは嫌だ」という方には正直おすすめできません。しかし、多くのユーザーは「月に換算すればコーヒー数杯分のガソリン代の差。それ以上に見た目の満足度が高いから許せる」と納得されています。この燃費悪化は「カッコよさのための必要経費」と割り切れるかどうかが、導入の分かれ道になります。
乗り心地と静粛性の意外な評価

「ゴツゴツしたタイヤ=うるさい・乗り心地が悪い」というイメージをお持ちではありませんか?かつてのマッドテレーン(M/T)タイヤなどは確かにそうでした。しかし、オープンカントリーR/Tは、その常識を覆したからこそ、これほどの大ヒット商品になったのです。
まず静粛性(ノイズ)について。時速40km〜60km程度の街乗り領域では、純正の商用タイヤとほとんど変わらないレベルです。「ゴーッ」というロードノイズが全くないわけではありませんが、音楽を聴いたり会話をしたりするのに邪魔になるような騒音ではありません。これは、タイヤのセンター部分(真ん中)にブロックを密集させた配置にすることで、舗装路での連続した接地を確保しているためです。
次に乗り心地について。ここは好みが分かれるポイントです。オープンカントリーR/Tは、LT(ライトトラック)規格のタイヤらしく、ケース剛性(タイヤ全体の硬さ)が非常に高く作られています。そのため、荷物を積んでいない「空荷」の状態だと、マンホールや道路の継ぎ目を越えた際に「パンッ」「タンッ」という、少し跳ねるような硬さを感じることがあります。
逆に言えば、しっかりとした剛性感があるため、キャンプ道具を満載にしたり、仕事で重い荷物を積んだりした時の安定感は抜群です。純正タイヤのフニャフニャした頼りなさが消え、シャキッとした走り味に変わります。
指定空気圧と乗り心地改善のコツ

オープンカントリーR/Tの性能を正しく引き出し、少しでも快適に乗るためには「空気圧管理」が鍵を握ります。よく「カスタムタイヤだから空気圧を変えた方がいいの?」と質問されますが、基本は「車両の指定空気圧(純正値)」に合わせるのが正解です。
エブリィの場合、運転席のドアを開けたBピラー付近に空気圧ステッカーが貼られています。
(例:フロント2.4kPa / リア2.4kPa〜3.5kPa ※積載量による)
この数値を基準にするのですが、前述した「空荷時の跳ね」が気になる場合は、リアの空気圧を指定範囲の下限値(例:定積載時の低い方の数値)に合わせてみてください。タイヤの反発力が弱まり、跳ねがマイルドになります。
逆に、高速道路を長時間走る場合や、燃費を少しでも稼ぎたい場合は、指定範囲内で少し高め(+0.2kPa程度)に入れるのがセオリーです。ただし、入れすぎるとタイヤの中央だけが摩耗する「センター摩耗」の原因になるので注意しましょう。自分の使い方に合わせて、0.1kPa単位で調整して「おいしいポイント」を探すのも、タイヤカスタムの醍醐味の一つです。
雪道や凍結路面での走行性能

オープンカントリーR/Tのサイドウォールには、「M+S(マッド&スノー)」という刻印があります。これを見て「スタッドレスタイヤ代わりになるかも?」と期待する方がいますが、それは大きな間違いであり、非常に危険です。
M+Sという表記は、アメリカの規格で「溝の面積比率が一定以上あり、泥や雪を排出する能力がある形状」であることを示しているに過ぎません。つまり、「ゴムの質」は夏タイヤそのものなのです。
- 新雪・深雪・シャーベット状の雪
深い溝とブロックが雪を噛むため、ある程度は進むことができます。ノーマルタイヤよりは遥かにマシです。急な降雪で「家に帰るだけ」なら何とかなるかもしれません。 - 圧雪路(踏み固められた雪)・凍結路(アイスバーン)
全くグリップしません。ゴムが低温で硬くなってしまうため、氷の上ではツルツル滑ります。ブレーキを踏んでも止まらず、カーブでは外に膨らんでいきます。
【結論】冬は必ずスタッドレスタイヤへ履き替えてください。
「M+Sだから大丈夫」と過信して冬道を走るのは、自分だけでなく他人を巻き込む事故につながります。雪国にお住まいの方はもちろん、年に数回しか降らない地域の方でも、路面凍結の恐れがある時期はオープンカントリーR/Tの使用は避けるべきです。
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エブリィのノーマル車高にオープンカントリーは最適解


ここまで、メリットもデメリットも包み隠さず解説してきました。改めて結論をお伝えすると、エブリィのノーマル車高にオープンカントリーR/T(145/80R12)を装着することは、コストパフォーマンス、ルックス、そして実用性のバランスが取れた「最強の最適解」であると断言できます。
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