新型アトレー スタッドレス タイヤ ホイール セット【車検とLT規格の注意点】

新型アトレー（S700系）のご納車、おめでとうございます。商用車としてのタフさに加え、乗用車のような快適性も備えたことで人気を集めています。さて、冬を前に、新型 アトレー スタッドレス タイヤ ホイール セットの準備をお考えのことでしょう。

ただ、いざ探してみると「純正のタイヤサイズは何だっけ？」「アルミホイール 12インチが標準みたいだけど、14インチにインチアップはできるの？」「商用車だからこその注意点はある？」など、多くの疑問が出てくるかもしれません。特に、安全に直結するホイールマッチングや、最適なおすすめのタイヤ選びは悩ましいポイントです。

この記事では、新型アトレー（S700系）の冬支度に欠かせないスタッドレスタイヤとホイールセットの選び方について、専門的な視点から分かりやすく解説します。

新型アトレー スタッドレス タイヤ ホイール セットの選び方

まず確認すべき純正タイヤサイズ

新型アトレー（S700系）のスタッドレスタイヤセットを選ぶ上で、すべての基本となるのが純正のタイヤサイズです。車検証や、運転席ドアの開口部（センターピラー）に貼られているタイヤ情報ラベルで、ご自身の車の正確なサイズを必ず確認してください。

2021年12月以降に発売されたS700系アトレー（RS、X、デッキバン含む）の純正タイヤサイズは、以下の通りです。（出典：ダイハツ工業株式会社 アトレー主要諸元表）

新型アトレー（S700系） 純正タイヤサイズ

145/80R12 80/78N LT

このタイヤサイズ表記には、安全なタイヤ選びのための重要な情報が詰まっています。

タイヤサイズ表記の意味

• 145: タイヤの幅（mm）
• 80: 扁平率（％）。タイヤの幅に対する高さの割合です。
• R: ラジアル構造を示します。
• 12: ホイールの直径（インチ）
• 80/78N: ロードインデックス（LI）と速度記号。タイヤ1本で支えられる重さと、走行可能な最高速度を示します。「80」が単輪、「78」が複輪（ダブルタイヤ）の場合のLIですが、アトレーは単輪のため「80」が適用されます。
• LT: 「Light Truck（ライトトラック）」の略。小型トラックやバンなどの商用車用タイヤであることを示す規格です。

特に重要なのは、最後の「80/78N LT」という部分です。これは、このタイヤが乗用車用ではなく、荷物を積むことを前提とした商用車用タイヤであることを示しています。

商用車（LT規格）の注意点

新型アトレーは乗用車ライクな内装や使い勝手が魅力ですが、車両区分は「4ナンバー」の軽貨物車（商用車）です。これがタイヤ選びにおいて最も重要な注意点となります。

商用車は、乗用車よりも重い荷物を積載することを前提に設計されています。そのため、タイヤにも高い負荷能力と耐久性が求められます。

車検不適合の可能性あり！乗用車用タイヤに注意

車検（道路運送車両の保安基準）では、純正タイヤに定められたロードインデックス（負荷能力）と同等以上の性能を持つタイヤを装着することが義務付けられています。

新型アトレーの純正LIは「80」（単輪）です。しかし、同じ145/80R12というサイズでも、乗用車用のスタッドレスタイヤ（例：BLIZZAK VRX3など）は「145/80R12 74Q」といった表記になります。この「74」という数値は、純正の「80」よりも負荷能力が大幅に低いため、そのまま装着すると車検に通らない可能性が非常に高くなります。

それ以上に、負荷能力が足りないタイヤで重い荷物を積んで走行すると、タイヤが変形してたわみ過ぎ、最悪の場合はバースト（破裂）につながる危険性があり、絶対に避けなければなりません。スタッドレスタイヤは必ず「145/80R12 80/78N LT」のように、純正と同等以上の負荷能力を持つLT規格（バン・小型トラック用）を選ぶ必要があります。

ホイールの「JWL」と「JWL-T」規格

タイヤと同様に、アルミホイールにも安全基準を示す刻印があります。「JWL」は乗用車用、「JWL-T」はトラック・バス用の規格です。これらは、国の定める技術基準に適合していることを示すマークです。

本来、商用車にはより高い強度が求められる「JWL-T」規格のホイールが必要ですが、アトレーのような最大積載量500kg以下の軽貨物車の場合は、「JWL」規格のホイールでも車検は通るとされています。

ただし、これはあくまで車検上の扱いです。荷物を頻繁に積載する使い方を想定する場合、より高い強度が保証されている「JWL-T」規格のホイールを選んでおくと、さらに安心感が高まります。ホイールを選ぶ際は、JWLまたはJWL-Tマークが表示されているかを確認しましょう。（参照：一般社団法人 自動車用軽合金製ホイール試験協議会）

定番のアルミホイール 12インチ

純正と同じ12インチは、スタッドレスタイヤセットとして最も定番で、経済的かつ実用性に優れた選択肢です。

12インチを選ぶメリット

デメリットとしては、インチアップした場合と比較すると、どうしても見た目の迫力やスタイリッシュさでは一歩譲る点が挙げられます。しかし、コストと冬道での実用性、安全性のバランスを重視する方には、12インチが最も合理的な選択と言えるでしょう。

12インチの主なホイール例

フジ・コーポレーションやオートウェイなどの通販サイトでは、「Verthandi（ヴェルザンディ）」、「DILETTO（ディレット）」、「SCHNEIDER（シュナイダー）」、「DOS（ディーオーエス）」といったブランドから、アトレーに適合するJWL（一部JWL-T）規格の12インチホイールが多数販売されています。

インチアップするなら14インチ

「冬でもスタイリッシュに乗りたい」「足元に迫力が欲しい」という方には、14インチへのインチアップが人気です。アトレーの力強いデザインに負けない、カスタム感をプラスできます。

14インチを選ぶメリット

• デザイン性: ホイールが大きくなることで、見た目が大幅に向上します。スポークが映えるデザインなど、ドレスアップ効果が期待できます。
• 走行安定性: インチアップに伴いタイヤの扁平率が低くなる（例：65扁平など）ため、タイヤの「ヨレ」が少なくなり、カーブなどでの走行安定性が改善する場合があります。
• 選択肢: 「BADX（バドックス）」のロクサーニシリーズや「ホットスタッフ」、「ウェッズ」など、デザイン性の高いホイールを選べるようになります。

一方で、インチアップには必ず伴うデメリットと、アトレー特有の注意点が存在します。

14インチの注意点

• 価格が高い: 12インチセットと比較して、タイヤ・ホイールともに価格が上がります。一般的に1万円～3万円程度の追加費用が必要です。
• 乗り心地の硬化: タイヤのゴム部分（サイドウォール）が薄くなるため、路面からの突き上げを感じやすくなる傾向があります。純正の柔らかい乗り心地を好む方には向きません。
• LT規格品の不足: これが最大の注意点です。14インチのLT規格スタッドレスタイヤは、12インチに比べて選択肢が激減します。乗用車用タイヤ（例：155/65R14 75Q）を選んでしまいがちですが、前述の通り車検や安全性の問題があるため、14インチでも必ずLT規格（または同等の負荷能力）のタイヤを探す必要があります。

14インチを選ぶ場合は、例えば「165/65R14 83/81N LT」といった、純正のLI（80）をクリアするLT規格のタイヤと、それに適合するホイールをセットで探す必要があります。

失敗しないホイールマッチング

ホイール選びで失敗しないためには、「ホイールマッチング」、つまり車両に適合する規格のホイールを選ぶことが不可欠です。デザインが気に入っても、車に取り付けできなければ意味がありません。

新型アトレー（S700系）の基本的なマッチングデータは以下の通りです。

新型アトレー（S700系） ホイールマッチングデータ

項目	純正規格（12インチ）	備考・解説
PCD	100mm	ホイールのボルト穴間の距離（Pitch Circle Diameter）。軽自動車はほぼ100mmです。
穴数	4穴	ホイールナットで固定するボルト穴の数。アトレーは4穴です。
ハブ径	54mm	車体側ハブ（車軸の中心）の直径。ホイール側の穴（ハブボア）はこれ以上（54mmか、それより大きい汎用サイズ）である必要があります。
インセット	+40mm	ホイールの中心から取付面までの距離。純正は+40mmです。

スタッドレスタイヤとホイールのセット販売されている商品は、基本的に「アトレー適合品」として案内されますが、ホイール単体で購入する場合や、インチアップ（特に14インチや15インチ）を検討する場合は、これらの数値が適合範囲内にあるかを確認する必要があります。

特にインセットの値は重要です。この数値が純正の「+40」より小さくなる（例：+35mmなど）と、ホイールが車体の外側に出っ張ります。小さすぎるとタイヤやホイールがフェンダーからはみ出し、法律違反（保安基準不適合）となるため車検に通りません。

逆に数値が大きすぎる（例：+45mmなど）と、ホイールが車体の内側に入り込み、サスペンションなどの足回り部品に干渉する恐れがあります。純正に近いインセット値を選ぶことが、最も安全で確実な方法です。

おすすめの新型アトレー スタッドレス タイヤ ホイール セット

おすすめの主要メーカー比較

新型アトレーのスタッドレスタイヤを選ぶ際、「バン用（LT規格）」と「乗用車用」の違いを正しく理解することが重要です。

前述の通り、アトレーには原則として「バン用（LT規格）」が必要です。バン用タイヤは、乗用車用タイヤに比べて、重い荷物を支えるための耐久性（耐荷重性）や、長距離走行に耐える耐摩耗性（ライフ性能）を重視して設計されています。

ここでは、アトレーに最適な代表的なバン用モデルと、比較対象として（装着は推奨されませんが）高性能な乗用車用モデルの特徴をまとめます。

メーカー	モデル名	規格	主な特徴
ブリヂストン	BLIZZAK VL10	バン用 (LT)	バン用タイヤに求められる「効き」と「長持ち」を高次元で両立。独自の発泡ゴム技術をLT用に最適化。従来品（VL1）比で摩耗ライフ20%向上を実現。
ダンロップ	WINTER MAXX LV01	バン用 (LT)	2024年発売の新作。特に横滑り抑制技術と、荷物が少ない「空荷（低荷重）時」の氷雪性能を強化。従来品（SV01）比で氷上ブレーキ14%向上。
ブリヂストン	BLIZZAK VRX3	乗用車用	乗用車用としては史上最高の氷上性能。効き持ちも良いが、アトレー適合サイズ（145/80R12 74Q）はLI不足で車検NG。

アトレーは仕事で荷物を満載にすることもあれば、レジャーで空荷に近い状態で走ることも多いですよね。そのため、「しっかり止まる氷上性能」と「長く使える耐摩耗性」、さらに「荷物の重さに関わらず安定して効く」という、バン特有の性能が求められます。この点において、最新のバン用スタッドレス「VL10」や「LV01」は非常によく考えられています。

ダンロップ製セットの特徴

ダンロップのスタッドレスタイヤセット、特に2024年8月に発売されたバン用新作「WINTER MAXX LV01（ウィンターマックス エルブイゼロワン）」は、新型アトレーに最適な選択肢の一つです。

このタイヤは、従来品（WINTER MAXX SV01）と比較して、氷上ブレーキ性能が14%向上したとメーカーから発表されています。最大の進化点は、「インターロッキングサイプ」という新技術により、タイヤのブロックが互いに支え合い、凍結路面での横滑りを抑える性能が向上した点です。

また、アトレーのようなバン特有の「空荷（低荷重）の時」は、タイヤの接地圧が低くなりがちです。LV01は、空荷時でもタイヤがしっかり路面に接地するようにトレッドプロファイル（タイヤの断面形状）が改良されており、荷物の量にかかわらず安定した氷雪性能を発揮することが期待できます。

ブリヂストン製セットの特徴

ブリヂストンからは、バン用スタッドレスとして「BLIZZAK VL10（ブリザック ブイエルテン）」がラインナップされています。

VL10は、ブリヂストンのスタッドレスタイヤの代名詞である「発泡ゴム」技術を、商用車（LT）向けに最適化した「LT専用ブイエル発泡ゴム」を採用しています。これにより、凍結路面の滑りの原因である水膜を効果的に除去し、高い氷上ブレーキ性能（従来品VL1比で15%向上）を実現しています。

さらに、バン専用パターンによって接地面積を最適化し、ブロック剛性を高めることで耐摩耗性も20%向上しており、「効き」と「長持ち」という商用車オーナーの二大ニーズに高いレベルで応えるモデルです。

（参考）BLIZZAK VRX3について

一方で、「BLIZZAK VRX3」は、ブリヂストン史上最高の氷上性能を誇る乗用車用スタッドレスタイヤです。氷上ブレーキ性能はVRX2比で20%向上し、ゴムの柔らかさを維持する技術で「効き持ち」も抜群です。

しかし、この記事で繰り返し述べている通り、アトレーの純正サイズ（145/80R12）に対応するVRX3は「74Q」という乗用車規格です。これはLT規格の「80/78N」と比べて負荷能力が決定的に不足しているため、アトレーに装着して公道を走行することは推奨されず、車検にも通りません。安全のため、選択肢から除外するのが賢明です。

通販サイトの価格情報

新型アトレーのスタッドレスタイヤセットは、カー用品店やタイヤ専門店だけでなく、専門通販サイトを利用すると、価格を比較しながら効率よく購入できるケースが多くあります。

主要タイヤ通販サイトの特徴

• フジ・コーポレーション: タイヤとホイールのセット販売に強い老舗です。ウェブサイト上でホイールの装着イメージをシミュレーションできる機能が充実しており、デザインにこだわりたい方におすすめです。12インチ・14インチともに多数の組み合わせが用意されています。
• オートウェイ（AUTOWAY）: NANKANG（ナンカン）やHIFLY（ハイフライ）といった海外製タイヤの取り扱いが豊富で、価格を最優先する場合には強力な選択肢となります。もちろん国内メーカーの取り扱いもありますが、LT規格のスタッドレスを探す際は注意が必要です。
• タイヤフッド（TIREHOOD）: 購入したタイヤを、オートバックスなど全国約4,500店舗（※公式サイト情報）の提携店舗で取り付けてもらえるサービスが特徴です。タイヤ代金に交換工賃が含まれた「コミコミ価格」で表示されるため、総額が分かりやすいのがメリットです。

価格は、選ぶタイヤ（国内メーカーか海外メーカーか）やホイールのデザインによって大きく変動します。例えば、12インチのLT規格スタッドレスタイヤとベーシックなアルミホイールのセットであれば、おおよそ4万円台後半から7万円台が相場となることが多いようです。14インチにインチアップしたり、デザイン性の高いホイールを選んだりすると、価格はさらに上昇します。

まとめ: 新型 アトレー スタッドレス タイヤ ホイール セット

• 新型アトレーは4ナンバーの軽貨物車である
• 純正タイヤサイズは 145/80R12 80/78N LT である
• スタッドレス選びで最も重要なのはLT規格（または同等の負荷能力）である
• 乗用車用タイヤ（例：145/80R12 74Q）は負荷能力不足で車検に通らない
• コストと乗り心地重視なら定番の12インチがおすすめ
• 見た目重視なら14インチへのインチアップも可能
• 14インチの場合もLT規格のタイヤ（または同等の負荷能力）を探す必要がある
• ホイールマッチングの基本は PCD100 / 4穴 / インセット+40mm前後
• 軽貨物車はJWL規格のホイールでも車検に通る（JWL-Tなら尚良し）
• ブリヂストンならバン用のBLIZZAK VL10が最適
• ダンロップなら新作バン用のWINTER MAXX LV01がおすすめ
• 乗用車用のVRX3はアトレーには装着しない（車検不適合のため）
• 通販サイトを利用すると安価に購入できる可能性がある
• フジ・コーポレーションはセット品が豊富
• タイヤフッドは交換工賃込みで総額が分かりやすい
• 安全と法令順守のため、必ず規格に合ったタイヤを選ぶことが大切