まだ「10mmまでOK」と誤解してない?オフロードタイヤ車検の真実と合格ライン

まだ「10mmまでOK」と誤解してない?オフロードタイヤ車検の真実と合格ライン

愛車をカッコよくカスタムしたいと考えたとき、真っ先に思い浮かぶのがオフロードタイヤへの交換ではないでしょうか。ゴツゴツしたマッドテレーンやオールテレーンタイヤを履かせると、車全体の雰囲気が一気にワイルドになって、自分のライフスタイルそのものが変わったようなワクワク感がありますよね。ただ、そこでどうしても気になってしまうのが「このタイヤで車検に通るのか?」という問題です。実際にインターネットで検索してみると、オフロードタイヤに関する車検の情報は非常に複雑で、ハミタイの基準やリフトアップによる構造変更、さらには直前直左の視界基準など、専門的な用語が多くて不安になってしまう方も多いはずです。

実は、私たちが思っている以上に日本の車検制度は緻密で、単にタイヤがフェンダーに収まっていればOKという単純な話ではありません。特に2017年の保安基準改正以降、タイヤのはみ出しに関するルールは少し変わりましたが、それを「ハミタイが公認された」と勘違いしてしまうと、車検で痛い目を見ることもあります。この記事では、そうした複雑な法規制や現場での運用実態を整理し、これからカスタムを楽しみたい皆さんが安心してカーライフを送れるような情報をまとめてみました。

記事のポイント
  • 2017年改正の「10mmルール」における正しいハミタイの判定基準
  • オーバーフェンダー装着時に構造変更が必要になる境界線
  • タイヤ外径変更がスピードメーター検査に与える影響と対策
  • 貨物車や主要車種(ジムニー・ハイエース等)ごとの車検適合ポイント

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目次

オフロードタイヤで車検に通るためのハミタイ基準

オフロードタイヤで車検に通るためのハミタイ基準

オフロードタイヤを装着してカスタムを楽しむ際、最初にして最大のハードルとなるのが「タイヤのはみ出し」、通称ハミタイの問題ですね。一昔前までは「フェンダーから糸を垂らして、少しでも触れたらアウト」という非常に厳しい世界でしたが、現在は法改正によって状況が変わっています。しかし、この「変わった」という事実が独り歩きしてしまい、「今の車検はハミタイでも通るらしい」という誤った認識を持ってしまっている方が意外と多いんです。ここでは、保安基準の条文に基づいた正確なルールと、検査現場でのリアルな判定基準について、私の経験も交えながら詳しく解説していきます。

10mmルールとハミタイの車検適合範囲

10mmルールとハミタイの車検適合範囲

カスタム好きの間でよく耳にする「ハミタイが10mmまでOKになった」という噂。これは事実ではありますが、全てのケースに当てはまるわけではありません。このルールの根拠となっているのは、2017年(平成29年)6月22日に施行された「道路運送車両の保安基準」の一部改正です。この改正の本来の目的は、グローバル化が進む自動車市場において、日本独自の基準を欧州や米国の基準と調和させる「国際基準調和(ハーモナイゼーション)」にありました。

具体的に何が変わったのかというと、「回転部分の突出禁止規定」において、「タイヤのラベリング(文字)やリムガードなどのゴム部分」に限り、10mm未満の突出であれば直ちに保安基準不適合とはしないという緩和措置が取られたのです。ここで最も重要なのは、許容されるのがあくまで「タイヤのゴム部分」だけであるという点です。

多くの人が勘違いしやすいのですが、この改正は「ワイドタイヤや深リムホイールを履くために緩和された」わけではありません。ホイールのリム、スポーク、センターキャップ、そしてホイールナットといった「金属製の回転体」に関しては、以前と変わらず1mmたりともフェンダーから突出してはならないという厳しい基準が維持されています。これは、万が一歩行者と接触した際、硬い金属部分が突出していると人体に深刻な傷害を与えるリスクが高いためです。

ここが最大の勘違いポイント!
「10mmまでなら大丈夫」とタカをくくって、リムがフェンダーから出ている「ツライチ」や「アウトリップ」のようなセッティングにしてしまうと、車検では問答無用で不合格になります。あくまで「ゴムの厚み」が許されただけ、という認識を強く持ってください。

つまり、これからホイールを選ぶ際は、デザイン面での突出(コンケイブ形状のスポークなど)も考慮して、金属部分が完全にフェンダー内に収まるインセット設定を選ぶ必要があるということです。

タイヤのはみ出しはゴム部分のみ許容される

タイヤのはみ出しはゴム部分のみ許容される

では、この「10mmルール」の恩恵を最も受けるのは誰かというと、まさに私たちのような「オフロードタイヤ」を履くユーザーなんです。特にマッドテレーン(M/T)タイヤは、泥や岩場でのトラクションを稼ぐために、サイドウォールまでゴツゴツとしたブロックパターンが回り込んでいますよね。これを「サイドブロック」や「サイドビター」と呼びますが、この部分は構造上どうしてもタイヤの断面幅より外側に出っ張ってしまいます。

以前の基準では、ホイールがフェンダーに収まっていても、このサイドブロックが数ミリ出ているだけで「ハミタイ」と判定され、車検に通らないという理不尽な状況が多々ありました。そのためだけに、車検のたびにラバーフェンダーを貼り付けるなどの対策が必要だったのです。しかし、2017年の改正以降、このサイドブロックは「タイヤの附属物(ゴム部分)」として扱われるようになり、以下の条件を満たせば堂々と車検に通せるようになりました。

【重要】30度・50度ルールの適用範囲

車検の検査ラインでは、タイヤ全体が収まっているかを見るのではなく、特定の範囲をピンポイントで確認します。それが「前方30度・後方50度」の範囲です。

  • 前方30度:ホイールの中心から垂直線を引いた際、そこから前側に30度の角度までの範囲。
  • 後方50度:同じく中心から後ろ側に50度の角度までの範囲。

判定のロジック
この「前方30度〜後方50度」の範囲内において、はみ出しているのが「ゴム部分」のみであり、かつその突出量が「10mm未満」であること。これが適合の絶対条件です。

検査員は、重りをつけた糸(下げ振り)をフェンダーのトップ(最外側)から垂らし、タイヤとの隙間や突出量をミリ単位で厳密に測定します。このとき、オフロードタイヤ特有の「鋭利なブロック形状」が問題視されることもあります。いくらゴム製で10mm以内であっても、検査員が「歩行者に接触した際に切創などの危険を及ぼす形状(鋭角な突起物)」と判断した場合は、保安基準第18条の安全基準に抵触するとして不合格になるリスクが残っています。ですので、あまりに攻撃的なデザインのタイヤを履く場合は、ショップのスタッフや検査場に事前に相談しておくのが無難かなと思います。

オーバーフェンダーの構造変更と車幅の規定

オーバーフェンダーの構造変更と車幅の規定

タイヤのはみ出し対策として、最もポピュラーなのが「オーバーフェンダー」や「フェンダーモール」の装着です。物理的にフェンダーを外側に広げてしまえば、タイヤを覆うことができるのでハミタイ問題は解決します。しかし、ここで新たに浮上するのが「車幅の変更」に伴う法的な手続きの問題です。

自動車検査独立行政法人の審査事務規定において、オーバーフェンダーはエアロパーツなどと同様に「指定部品」に分類されています。指定部品を取り付けた場合、一定の範囲内であれば車検証の記載変更(構造変更)を行わずに、そのまま継続検査に通すことが可能です。その境界線となるのが「車幅の変化が±2cm未満(20mm未満)」というルールです。

具体的には、左右のフェンダーに取り付ける厚みの合計が2cm未満であればOKということになります。片側で考えると、約9mmまでですね。カー用品店やネット通販で「9mmフェンダー」や「車検対応フェンダーモール」といった商品が多く販売されているのは、このルールに適合させるためなんです。

スクロールできます
全幅の変化手続きの種類固定方法の注意点
±2cm未満
(片側約9mm)
記載変更不要
(通常の継続検査でOK)
両面テープやクリップ等の「簡易的な固定」でも認められる傾向がある。
※脱落の危険がないことが前提。
±2cm以上
(片側10mm以上)
構造変更検査が必要
(管轄の陸運支局へ持ち込み)
ビス、ボルト、リベット、接着剤等で「恒久的かつ確実」に固定されている必要がある。
※両面テープのみは不可。

もし、デザイン重視で片側30mmや50mmといったワイドなオーバーフェンダーを装着する場合は、確実に車幅が2cm以上広がるため、管轄の陸運支局に車を持ち込んで「構造変更検査」を受けなければなりません。ここで注意が必要なのは、構造変更検査に合格すると、その時点から車検の有効期間がリセットされて再スタートするという点です。車検が1年残っていても、その残期間は消滅してしまいます。

軽自動車ユーザー(ジムニー等)は要注意!
特に注意が必要なのが、ジムニーなどの軽自動車ユーザーです。軽自動車の規格は、全幅が1.48m以下と定められています。現行のジムニー(JB64)は、純正状態でこの規格ギリギリのサイズで作られています。
そのため、もしオーバーフェンダーを装着して全幅を大幅に拡大し、構造変更の申請を行うと、軽自動車の枠を超過してしまい、「白ナンバー(小型乗用車)」として登録し直すことになります。

白ナンバー化すると、自動車税や重量税が大幅に上がり、高速道路の料金区分も高くなってしまいます。維持費の安さが魅力の軽自動車ですから、このデメリットは計り知れません。そのため、軽自動車でオフロードカスタムを楽しむ場合は、「片側9mm以内の指定部品範囲」に収めるのが鉄則と言えるでしょう。

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リフトアップ時の直前直左の視界基準と対策

リフトアップ時の直前直左の視界基準と対策

オフロードタイヤを装着する際、タイヤの外径アップに伴って車高を上げる「リフトアップ」を同時に行う方も多いと思います。車高が上がると見晴らしが良くなって気分が良いものですが、車検においては「死角の拡大」という重大なリスクを招くことになります。それが「直前直左(ちょくぜんちょくさ)」の視界基準です。

保安基準第44条では、運転席に座った状態で、車両の「直前(すぐ前)」および「左側方(左ハンドル車は右側方)」にある障害物を確認できることが義務付けられています。具体的には、高さ1m、直径30cmの円柱(6歳児相当を模した障害物)を、車両前面から2m以内、左側面から0.3m以内の範囲に配置し、その一部でも鏡やカメラ等を使って視認できなければなりません。

この基準は、SUVやトラックなどの車高が高い車による、背の低い子供の巻き込み事故を防ぐために強化されたもので、特に平成19年(2007年)1月1日以降に製造された車両に対して厳格に適用されます。リフトアップを行うと、ボンネットの死角が前方に伸び、左前輪付近の死角も一気に拡大します。純正の補助ミラー(通称ガッツミラーやサイドアンダーミラー)は、あくまで純正車高での視界を確保するように設計されているため、リフトアップすると角度が合わなくなり、足元のポールが見えなくなってしまうのです。

主な対策方法:カメラかミラーか

この問題をクリアするための対策は、大きく分けて2つあります。

  • A. カメラ&モニターシステムの導入(推奨):
    最近の主流はこれです。フロントグリルや左サイドミラーの下部に広角カメラを埋め込み、その映像を車内のナビ画面や専用モニターに映し出します。メリットは、外観のスタイルを崩さずに死角を完全にカバーできる点です。
    ただし、車検対策としては「固定の確実性」が問われます。カメラを両面テープだけで貼っていたり、配線がむき出しでプラプラしていると、「走行中に脱落や断線の恐れがある」として不合格になります。ビス止めや埋め込み加工を行い、配線もコルゲートチューブ等で保護する必要があります。
  • B. 補助ミラーの追加・大型化:
    物理的にミラーを追加する方法です。いわゆる「キノコミラー」をフェンダーに追加したり、ドライブレコーダー用の補助ミラーをピラーに付けたりします。安価で電気的なトラブルもありませんが、スタイリングを損なう可能性があるのがデメリットです。

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(出典:国土交通省『道路運送車両の保安基準(第44条 後写鏡等)』)

貨物車の車検におけるLTタイヤと強度基準

貨物車の車検におけるLTタイヤと強度基準

ハイエース、キャラバン、プロボックス、そして軽トラックなどの「貨物車(4ナンバー・1ナンバー)」に乗っている方は、タイヤ選びにおいて乗用車とは全く異なる「強度基準」をクリアしなければなりません。貨物車は、最大積載量いっぱいに荷物を積んで走ることを前提に設計されているため、タイヤにもその重さに耐えうる強度が求められるのです。

従来、貨物車の車検においては、タイヤのサイドウォールに「LT(Light Truck)」の刻印があるか、あるいは「6PR(プライレーティング)」「8PR」といったプライ表記があることが絶対条件でした。しかし、近年の規制緩和により、LT規格以外のタイヤであっても、理論的に強度が足りていれば車検に適合する道が開かれています。

その鍵となるのが「ロードインデックス(LI:荷重指数)」です。車検の現場では、装着しているタイヤのロードインデックスが、その車両の「軸重(車軸にかかる重さ)」+「最大積載量」などを計算した数値を上回っているかどうかが厳しくチェックされます。特に、荷物を積載した際に大きな荷重がかかる「後輪(リアアクスル)」の数値が重要です。

例えば、乗用車用のSUVタイヤをハイエースに履かせたい場合、サイズが同じでも、乗用車用タイヤ(Pメトリック)は貨物用タイヤに比べて耐荷重性能が低く設定されていることがほとんどです。そのため、計算上の強度が不足し、車検不適合となるケースが後を絶ちません。「サイズが合うから大丈夫」ではなく、「このタイヤで1トンの荷物を支えられるか?」という視点が必要です。

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オフロードタイヤの車検で注意すべきメーター誤差

オフロードタイヤの車検で注意すべきメーター誤差

タイヤの見た目やはみ出し、フェンダーの収まり具合ばかりに気を取られがちですが、実は車検の検査ラインで最もシビアに数値判定され、多くのカスタムカーが涙を飲んでいるのが「スピードメーターの誤差」です。オフロードカスタムでは、車高を上げたり迫力を出したりするためにタイヤの外径(直径)を大きくする「インチアップ(外径アップ)」が定石ですが、これが車両の速度表示機能に直接的な悪影響を及ぼすのです。

車検におけるタイヤ外径変更とスピードメーター

車検におけるタイヤ外径変更とスピードメーター

なぜタイヤを大きくするとスピードメーターが狂うのでしょうか?そのメカニズムは単純な物理法則です。タイヤの外径が大きくなると、当然ながら円周(タイヤが1回転して進む距離)も長くなります。しかし、車のスピードセンサーは、車軸やトランスミッションの回転数を検知して速度を算出しているだけで、「今どんな大きさのタイヤを履いているか」までは知りません。

車側は「タイヤが1回転したから、これくらい進んだはずだ」と計算してメーターに「40km/h」と表示します。しかし、実際にはタイヤが大きくなった分、1回転で進む距離が伸びているため、実速度は41km/h、42km/hと、メーター表示よりも速いスピードが出てしまうのです。

メーター誤差の恐怖
「メーター表示よりも、実際のスピードが出すぎてしまう」こと。これが、現代の車検基準において最も忌避される状態です。ドライバーが制限速度を守っているつもりでも、実際にはスピード違反をしてしまう状態を招くため、安全上の観点から厳しく規制されています。

メーター誤差の許容範囲と製造年の違い

メーター誤差の許容範囲と製造年の違い

車検におけるスピードメーター検査は、テスター(ローラー)の上で車を走らせ、メーターが時速40kmを指した瞬間にパッシング等を行い、その時のテスター計測値(実速度)が基準内に収まっているかを確認します。この許容範囲は、車の製造年月日(初年度登録日)によって天と地ほどの差があります。

  • 平成18年(2006年)12月31日以前に製造された車両:
    この時期の車両までは基準が比較的緩やかで、実速度がメーター指示値よりも多少速いこと(プラス誤差)が許容されていました。
    (許容範囲:メーター40km/h時において、実速度 30.9km/h ~ 44.4km/h)
  • 平成19年(2007年)1月1日以降に製造された車両:
    ここが運命の分かれ道です。2007年以降の車両においては、「実速度がメーター表示を超えてはならない」という原則が導入されました。つまり、メーターが40km/hを指しているとき、実速度は絶対に40km/h以下(実際には誤差を考慮してさらに低い速度)でなければなりません。
    (許容範囲:メーター40km/h時において、実速度 30.9km/h ~ 42.55km/h)

※法規上の計算式に基づくと上限は約42.55km/hとなりますが、現場の運用や一般的な解釈としては「メーター表示値 ≧ 実速度」という原則が支配的です。タイヤの外径を大きくするカスタムは、実速度を上げる方向(プラス誤差)に作用するため、平成19年以降の車両にとっては極めて不利なカスタムと言えます。

ジムニーの車検で注意するタイヤサイズ

ジムニーの車検で注意するタイヤサイズ

このメーター誤差問題が最も顕著に現れるのが、大人気の現行ジムニー(JB64)です。ジムニーの純正タイヤサイズは「175/80R16(外径約686mm)」ですが、カスタムユーザーの間では、ひと回り大きい「185/85R16(外径約720mm)」というサイズが定番化しています。

このサイズ変更を行うと、タイヤの外径は約5%大きくなります。単純計算で、メーターが40km/hを示しているとき、実速度は約42km/hになります。これは、平成19年以降の基準上限である42.55km/hに対して、極めてギリギリの数値です。新品タイヤで溝が深かったり、空気圧を高めに入れていたり、あるいは高速回転時の遠心力でタイヤが膨張したりすると、容易に上限を超えてしまい、車検不適合となります。

ジムニーユーザーへの提言
「185/85R16なら車検に通る」というネット情報は、あくまで「計算上ギリギリ入るかもしれない」レベルの話であり、絶対ではありません。
最も確実な対策は、「車検の時だけ純正タイヤ(または純正同等サイズ)に戻すこと」です。スタッドレスタイヤをお持ちなら、それを履いて車検を受けるのが一番安心かつ経済的です。また、一部の検査場では事前に申告することで「メーター読み35km/h」などで合図を送り、計測してもらう手法が通じる場合もありますが、これはあくまで救済措置であり、全ての検査官が対応してくれるとは限らない点に注意してください。

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ハイエースの車検適合とロードインデックス

ハイエースの車検適合とロードインデックス

ハイエースのカスタムにおいても、タイヤ選びは鬼門です。特にホワイトレターが入ったNASCARタイヤなどを履かせて、16インチや17インチへインチアップするスタイルが人気ですが、ここで再び「ロードインデックス」と「フェンダー干渉」の問題が立ちはだかります。

先述の通り、商用バン登録のハイエースには高い耐荷重性能が求められます。しかし、インチアップ用のタイヤの多くは乗用車規格(XL規格など)であり、ロードインデックスが「98」や「100」程度しかないものが多く存在します。ハイエースの車両総重量を支えるには、最低でも「107/105」クラスのロードインデックスが必要になるケースが多く、乗用車用タイヤでは門前払いを受けてしまうのです。必ずタイヤの側面に「C(Commercial)」や「LT」の表記があるか、数値が適合しているかを確認してください。

また、ハイエースはフロントのフェンダーアーチとタイヤの隙間が非常に狭い設計になっています。少しでも外径が大きくなったり幅が広くなったりすると、ハンドルを全開に切った時や、段差を乗り越えてサスペンションが沈み込んだ時に、タイヤがボディ内部に激しく干渉することがあります。「ガガガッ」という異音だけでなく、タイヤが削れてバーストする危険性もあるため、車検云々の前に安全上の重大な欠陥となります。干渉を防ぐためのバンプストッパー調整なども含めたトータルセッティングが必須です。

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輸入車ホイールのJWL-T基準と緩和措置

輸入車ホイールのJWL-T基準と緩和措置

トヨタのタンドラ、タコマ、あるいはジープ・グラディエーターといった北米からの逆輸入車を、日本で「1ナンバー(普通貨物)」として登録して乗っている方も増えています。彼らを悩ませてきたのが、「アルミホイールの技術基準(JWL-T)」の壁でした。

日本の法律では、貨物車に装着するアルミホイールには、国土交通省が定める強度基準をクリアした証である「JWL-T」マークの刻印が義務付けられていました。しかし、アメリカで販売されているホイールにそんな日本のマークが入っているはずがありません。どんなに頑丈なUSホイールでも、「マークが無い」という理由だけで車検に通らない時代が長く続きました。

しかし、これも現在は規制緩和により状況が改善されています。以下の条件を満たすことができれば、JWL-Tマークがなくても車検に適合する道が開かれています。

  • 車両総重量(GVW)が3.5トン以下の車両であること。
  • JWL(乗用車用規格)のマークがあり、かつその耐荷重値が車両の軸重を満たしていることが証明できる場合。
  • または、SAE規格(アメリカのSAE J2530など)等の厳しい海外安全基準に適合していることが確認できる場合。

これにより、海外製のデザイン性の高いオフロードホイールを装着するハードルは大幅に下がりました。とはいえ、検査現場で検査員の方に「このホイールはSAE規格に適合していて、強度はこれだけあります」と口頭で言っても通用しません。強度証明書や、ホイール裏面の刻印の意味を説明する資料などの提示を求められることが一般的ですので、こうした輸入車の車検に慣れている専門ショップ(プロショップ)に依頼するのが確実です。

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オフロードタイヤの車検適合に向けた最終確認

オフロードタイヤの車検適合に向けた最終確認

ここまで、ハミタイ、構造変更、視界基準、メーター誤差、そして強度基準と、多岐にわたる車検のポイントを解説してきました。オフロードタイヤを装着して合法的に公道を走り続けるためには、これら全ての要素を「点」ではなく「線」で捉え、トータルでマネジメントする必要があります。

最後に、車検を受ける前に必ず確認しておきたい「究極のチェックリスト」をまとめました。ご自身の愛車と照らし合わせてみてください。

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チェック項目確認ポイント
ハミタイの精密測定ホイールのリムやスポーク等の金属部分は1mmも出ていないか?
ゴム部分の突出は前方30度・後方50度の範囲で10mm未満か?
スピードメーターの事前検証外径変更率は適正範囲か?
GPSアプリ等で実速度を計測し、メーター40km/h時に実速度が超過していないか?
直前直左の視界確保高さ1mのポールが運転席から死角なく確実に見えるか?
カメラ配線は露出せず固定されているか?モニターは常時確認できるか?
貨物車の強度証明タイヤのロードインデックスは軸重+積載量を満たしているか?
ホイールの耐荷重(JWL-T/JWL)は適合しているか?
寸法の管理と固定オーバーフェンダー装着時、全幅変化は車検証記載値±2cm以内か?
2cmを超える場合、構造変更申請を行い、かつビス等で確実に固定しているか?

さらに今後は、2024年から本格運用が開始される「OBD車検(車載式故障診断装置を活用した検査)」の影響も見逃せません。タイヤ外径を大幅に変更することで、車輪速センサーのパルス値に異常が生じ、自動ブレーキや横滑り防止装置(ESC)の制御ロジックと乖離が生まれる可能性があります。もしECUに「車速センサー異常」などの故障コード(DTC)が記録されれば、物理的にタイヤが収まっていても、電子的な検査で「不合格」となる時代が到来しつつあります。

これからのオフロードカスタムは、単なる「見た目と物理的な収まり」の調整から、センサーや電子制御との整合性まで考慮した「トータルエンジニアリング」の視点が不可欠となるでしょう。カスタムはとても楽しいものですが、安全と法律を守ってこそ、本当の意味でカッコいい車と言えるはずです。不安な点は、DIYで判断せずに専門知識を持ったプロショップや整備工場にあらかじめ相談して、堂々と公道を走れる自慢の愛車に仕上げてくださいね。

(※本記事の情報は執筆時点の法規や一般的な解釈に基づいています。最終的な車検の合否は検査員の判断となりますので、詳細は管轄の陸運支局や専門家にご確認ください。)

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